患者様へ
これまでの経験からの観点でしみの治療についてお話をします。
はじめに
私が思う肝斑の原因
当院開業以前、形成外科美容外科の手術中心の仕事に携わってきた経験からこんな経験をしました。
ホルモン治療等の女性化の治療を行っていない、いわゆる“オカマさん”の顔の手術をする際、すっぴんの状態を見る機会があります。
そういった患者さんにも女性特有と言われた肝斑様のくすみを見る機会がありました。
また、小顔マッサージ、リンパマッサージを受けていた方のほほや、マスクをすることの多い看護婦さんのマスクのこすれる部位に肝斑様のくすみを見る機会があり、このくすみが出現する現象は何らか外的要因、すなわち“こする”ことが原因でないかと考えるようになりました。
すなわち、いつも肘をこする畳屋さんの肘の色素沈着や、アトピー性皮膚炎の患者さんがいつも掻いてしまう首に色素沈着が出現することと同じようなことが起こっているのでは?というのが、私の肝斑に対する考えです。
実際に、一般の女性患者さんの肝斑の出現部位を診ると、洗顔時に強くこすってしまいがちな部位に認められることが大半で、具体的には頬骨の凸部位、おでこがほとんどで、髪の毛の生え際に肝斑が認められない現象も説明できます。
また、レーザー治療にて悪化することも、外的要因で出現する肝斑にある程度の熱傷を伴うレーザー治療を行うことは再発、悪化の引き金になると考えれば、この現象も説明できると考えます。まだ、何も学術的な証明はできていませんが、この現象を考慮して治療を行っていきます。
肝斑以外のしみ
浮き出たような丸いしみ(老人性のもの<SK>)、雀斑(そばかす)などは、レーザー治療が著効します。ただし、そのしみの下層にくすみ(肝斑)が存在すると、表層のしみが取れても下層のくすみの悪化で再発したかのように見えてしまうことがあります。結局肝斑の存在が治療を左右するということをご理解ください。
実際の治療戦略
①くすみ(肝斑)を伴わないしみ
Qスイッチルビーレーザー
- 費用
- 11,000円〜22,000円
- リスク・副作用
- 腫れ、水疱、内出血、熱傷、痛み、発赤、外傷性色素沈着
②くすみ(肝斑)を伴ったしみ
< 内服薬 >
ビタミンCがしみ、くすみに良いことはご存知と思いますが、トラネキサム酸がしみ、くすみに効果がある理由はよくわかっていません。もともと止血剤として処方されているトラネキサム酸に効果があることは、経験的に知られるようになりました。しかしながら、外因性の理由で皮膚のダメージから肝斑が出現すると考えると、何らかの修復にトラネキサム酸がかかわっていることで効果を出しているのではと考えています。当院では保険外で処方しています。
- 費用
- ビタミンC、トラネキサム酸服用(¥3,000/月)
- 副作用
- 食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢
- その他
- 内服(肝斑セット)トランサミン・シナール全て厚生労働省認可の薬剤を使用しています。
③elos Plus 光(IPL)+高周波(RF)を用いた治療
表皮に働きかけるIPLと真皮に働きかけるRFを同時に行うことのできる美肌用の治療機器です。事故の報告が少ない安心して使用できるレーザーの一つで、ダウンタイムもなく、肝斑に外的な刺激を与えることなく皮膚のコンディションを改善することが期待できます。しみに即効性はありませんが、肌のハリ、毛穴の引き締め等にも効果あり月に一度のペースで治療を繰り返すと効果的です。
④Qスイッチルビーレーザー
②〜③の治療を進めながら、ある程度のくすみ(肝斑)が落ち着いた状態になり浮き出たような丸いしみ(老人性のもの<SK>)、雀斑(そばかす)のみが残った状態になった時点でこのレーザーを試し打ちから始めていきます。肝斑の悪化、再発等がないことを確認しながら行っていきます。elos Plus治療を定期的に行っている患者様には、追加料金なしで、私自身から試し打ちの時期、部位を提案しています。
- リスク・副作用
- 腫れ、水疱、内出血、熱傷、痛み、内出血、発赤